嘆き



−嘆き−



「兄上…お久しぶりでございます。


戦のせいで常世の国に旅立った兄上は、もはや妾より年下になってしまいましたな…

されど妾は、未だ兄上をお慕いしております。


兄上…少しだけ妾の話を聞いてはくださりませぬか?

…いくら妾でも、全てが理想通りになりはしないのは小さき頃よりわかっておりました…

武家の女子はお家のため、有益な所へと嫁ぎ、子を産む。さすれば家と家の絆は強固になり、後世へ家名を残すことになる。それが武家の習わしであると…


されど……では、妾自身の心情(きもち)は?姫だ姫だと、もてはやされてはおっても、所詮は道具。…他家へ嫁いでも、跡継ぎが産めなければ役立たずと罵られ、もしその間に実家が攻め込まれ、滅ぼされでもしたら…妾には何の価値もなくなり、家を追われることまかりなりませぬ。


妾は怖い!妾の人生が「役立たず」で終わってしまうことが…死することより怖いのです。


周りに味方はおりませぬ。いつも仮面をつけて過ごすほか、我が身を守る手段がございません。


…兄上なぜ先に逝ってしまったのですか…?

妾も!妾も兄上の元へまいりとうございます…」



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