願い



−願い−



「…もし

「もし」といっておろうが!無視するでない。

...それで?このような所で何をしておる?

んん?なんじゃ小僧…泣いておるのか?

どうしたのじゃ


ほぅ、両親が戦(いくさ)でのぅ…それで1人になってしまったというのじゃな…

してお主、これからどうするのじゃ?

なに?後を追うじゃと?

あはははははは…くだらない

あぁ…許せ(笑)そうしたければそうするがよい。妾は止めはせぬ。

ただのぅ…一つ忠告じゃ。

後を追ったところで両親に会えるなどとゆめゆめ思うな。

人は皆、死ねば魂は無となり、肉体は土に還る。極楽に行けば死者と会えるという事などないわ!!

そんなモノは人が作り出した幻想にすぎぬ。

魂の腐食した成れの果て…それが「死」じゃ。

小僧…それでも逝くと申すか?


ふふふ…脅かしてすまぬ。なんじゃ?やめるのか?…さぁもう行け!二度とそのような世迷言を申すでないぞ?よいな?


はぁ〜この世は妾が降り立った時より荒(すさ)んでおるの…

あのような童(わらべ)すら死が救いじゃなどと思うておる…まこと嘆かわしいことじゃ...

じゃが、我ら精霊は人の世に救いをもたらすことはできぬ…

見守ることしかできぬのじゃ。

のぅ、梅の木よ…争い無き世はいつになったら訪れるのじゃろうなぁ…」



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