−親鳥の背中−
「来たか…少しお前たちと飲みたくなってな。
ふ…楽にせい。良き月じゃ。我らの国の月も美しいが、京の清水の山荘から見た月もことのほか美しかった…また見たいものじゃ。
お前たちに問う。「義」とはなにか…わかるか?
…わからぬか?…まぁよい。では少し昔話をしよう…
かつて儂は実の兄に刃をむけた。兄は弱い…乱世において力無き領主は悪じゃ。
あの時儂は一途にそう信じ、兄の軍勢と戦った。越後の民のため…儂は正しきことをしたと思った。
しかし…今でも心傷つき死んだ兄を思うことがある。
力は正義か?
もっと別の道はなかったのか?
強き者が弱き者の叫びを力で踏みにじることが、はたして真(まこと)の「義」であるのか?
儂は悩んだ…だからこそ自分の「義」を見つけることができたのじゃ。
儂の掲げる「義」とは「人が人であることの美しさ」よ。
だが「義」とは一つではない、己の「義」を見つけよ…
そして彼奴のようにはなるな…目先の「利」しか見えなくなった者は哀れじゃ!自身の力を誇示し殺戮を繰り返す。
儂は彼奴に…いや天下の万民に、利を得るより気高きものがあることを知らしめたいのじゃ…!
手取川…そこが奴との戦の舞台となろう。
我らの旗印は兜跋毘沙門(とばつびしゃもん)!
我が軍勢は業魔の軍!…世にはびこりし悪しき魔を断つ軍ぞ!!
お前たちが成長し、世の中に変革が訪れたとしても…自分自身の「義」決して忘れるな!
よいな?
越後の為、万民のため清き国を作っていこうではないか…なぁ?」
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