−選択の時−
「どうしたものか…古くからの盟友、共に世を動かしていこうと言ってくれた義兄、2人が争うことになろうとは…
時の流れとはかくも非情なものか…早急に答えを出さねば!北近江(きたおうみ)の民、百姓を守るためにはどうすれば…何か手は………何用だ!
む…私に文(ふみ)だと?ご苦労…さがれ
こっ、これは!?義兄上!…話が違う!…我々は同盟のはずだ!これではまるで織田の家臣ではないか!いったいどういうことじゃ…
…天下布武…「天下を武力によって統治する」であったか?
そうか…私など義兄上の駒であり、天下布武の踏み台にすぎぬと…そう申しておるのか!!
前々から思う所があったが…私が見て見ぬフリをしてきたのは…義兄上を、義兄上の言葉を信じていたからだというのに…
もはやこれまで…
…誰か!!
義景殿(よしかげどの)に急ぎ、使者をだせ!浅井は織田を見限り、今より朝倉にお味方いたすと伝えよ!
…これで……もう後にはひけぬ…
皆の者よく聞け!わが義兄、織田信長はついに民衆に仇なす魔王に成り下がった!
私は義弟として義景殿と手を結び、義兄の愚行を止める!
魔王…信長を討伐しこの地に安寧をもたらすのじゃ!よいな!
この長政…裏切り者の汚名は甘んじて受けよう…だが信長殿、貴方のやり方ではこの世を治めることはできても…人々の心に安らぎを与えることはできぬ!!
…許せ…市…これが...これが私が選んだ答えじゃ!」
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