忍び



ー忍びー



A「◯◯…おるか?」


B「はっ。およびでしょうか…主」


A「…来たか。ちとお主に仕事をしてもらいたい…。」


B「御意…」


A「仕事の内容じゃが…一応暗殺…じゃ。…とはいえ、すぐにというわけではない。」


B「はっ!…」


A「標的は、とある大名の嫡男(ちゃくなん)で、外面(そとづら)はいいのじゃが…裏では旅人を屋敷に招いて暴行、拷問、略奪などをしておるそうなのじゃ…


だが噂は噂。確かな情報ではない…調べてくれぬか?もしも真実であるのなら…わかるな?」


B「…!?恐れながらこの男…主の婚約者では…」


A「そうじゃな、いかにもこの者と妾は来月祝言(しゅうげん)となっておる。もちろん政略結婚じゃが…それはよい!武家に生まれたからには運命(さだめ)だと思い、覚悟はしておった。


もとより妾に夫を選ぶことはできぬ。が、…腐った人間と夫婦(めおと)となるのはご免こうむりたい。たのむ妾の願い、聞いてはくれぬか?」


B「承知しました。…それはそうと姫様を「主」と呼ぶようになってまだそんなに時間もたってないのですが…だいぶサマになってきましたね(笑)」


A「むっ!こらっ!またバカにしてるの?まだ慣れてないの!しょうがないでしょ!」


B「ははっいえいえ、誇らしいのですよ…人を殺めることしかできなかったオレを拾っていただき、家族のように扱ってくれた殿やあなたに、忍びとして仕えることができて私はとても幸せ者です。バカになんかしません。


ですから!主も「聞いてくれるか?」ではなく「しなさい!」でいいのです。

私はあなたの家臣ですから…」


A「ふぅ〜わかりました。いきなさい!」


B「はっ!主…標的の噂がもし本当であるなら、私の自由にしてもよろしいですか?」


A「任せる…。」


B「でわっ!」しゅっ


A「今までちっとも普通に話してくれなかったのに…急に昔の口調で話さないでよ。

せっかく覚悟が決まったのに…また…ゆめみちゃうじゃないの」



B「姫様も立派になられた…オレは主の命(めい)に従い、影ながら支えていくだけだ。


さて…スー(目つきがかわる)

もう調べはついてる…一瞬で終わらせてやる」


−標的屋敷−


B「消えろ…


 …任務完了…」



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