妖狐の涙



−妖狐の涙−



「…人間か?

よくもまぁノコノコと妾の前に姿を現すことができたものじゃ…死ぬ覚悟はできておろうな?

ん?あははは…妾も見くびられたものじゃ。貴様のような童(わらべ)をよこすとはな...。一応聞いておいてやろう…妾に何用じゃ?


…やはり貴様もか。どいつもこいつも同じことばかり言いおって…くだらぬ。


よいか?人に化け、ひっそりと暮らしておった妾を連れ去り、無理矢理に表舞台にあげたのは貴様等の王じゃ!

妾は人間共(お前たち)の為、できるかぎりの協力はしてやったはず。

なのに国が傾(かたむ)いたとたん妾の責(せき)にして処刑じゃと?ふん!馬鹿馬鹿しいにもほどがあるわ!


…富と権力に執着し、不老不死に手を伸ばし、挙げ句の果てに妖狐(妾)の力も我が物にしたいなどとほざきよって…これではどちらが妖かわかったものではないっ!

…そうは思わぬか?


はぁ…もうよい。捕らえるも滅するも、貴様の好きにすればよい。

この世にはほとほと愛想が尽きた。人間とは、まこと欲に塗(まみ)れたおぞましき生き物よ!

小僧…妾はのぅ…お前達の政(まつりごと)の道具にされるのも、お前達を殺めて逃げまわるのも…もう疲れた…

貴様等は…なぜ妾をそっとしておいてはくれぬのか…妾は…妾はただ生きていたかかっただけだというのに!たった一つの願いすら許されぬ…

ならば妾はいったい何のために生をうけたんじゃろうなぁ…小僧…教えてはくれぬか…のう」



コピペ用↓

 https://yosiyuki57serifu.jimdo.com/yokononamida/